篠崎 功 インタビュー ~フルバージョン~

 

下条:
篠崎さんはインフルエンサー化粧品プロデュースだけではなく、化粧品学客員教授という先生の顔もお持ちですよね。
どうして学校の先生になられたんですか?
また、学校ではどんな授業をされているんですか?

 

篠崎:
現在私が指導している美容専門学校や美容専門職大学院の生徒のほとんどは美容業界を目指している若い世代です。

彼らはとても美意識が高く、情報や流行に敏感ですが、「高級化粧品をたくさん使うほど綺麗になれる」と思い込んでいる事がよくあります。しかし化粧品を正しく選択できていなければ真逆の結果になり得ます。 

普通スキンケアに関する授業を受ける機会なんてありませんので皆さんインターネットで情報検索することが多いと思います。

インターネットは便利でトレンドを掴める一方、誤った情報も沢山あります。

誤った知識では「自分が綺麗になること」はもちろん「誰かを綺麗にすること」もできません。

若いうちに正しい知識や優先順位を理解しておけば効率良く綺麗になることができますし、仕事として誰かを綺麗にすることも可能です。

そういった部分で若い人たちの役に立てるのならばと思い、指導する仕事を続けています。

授業では自分自身が学んできたことや失敗経験も踏まえて「もっと早く知りたかったこと」を中心に美容の知識を教えていますね。

 

下条:
健康的な肌とはどんなものでしょうか?

篠崎:
「安定した肌」すなわち肌の機能が正常に働いている状態です。

正常なバリア機能や保湿機能が発揮できていれば、過剰なケアをしなくても肌はトラブルなく安定した状態を保つことができます。

 

下条:
篠崎さんの考える『正しいスキンケア』とはどういったものでしょうか?

 

篠崎:

・紫外線対策

・肌質やメイクに合ったクレンジングや洗顔

・肌に余計な刺激を与えない

・過剰な油分や水分を与えない

・効果的な成分を適切な濃度で補う

 といったことですね。

実は与えることはそれほど重要ではありません。

一番大切なことはダメージを減らすことです。

そして洗い過ぎ、塗り過ぎといった過剰なスキンケアは肌トラブルの原因になるので注意が必要です。

 

~スキンケアの注意点~

 

美白の時代ではありますが、まだまだ紫外線対策に対する意識が低いと感じますね。

紫外線は一時的な症状だけでなく、ダメージが蓄積され、シミやシワのように時間が経ってからも症状が現れる厄介なものです。それによって見た目年齢も大きく上がってしまいますので、日焼け止めはもちろん日傘や帽子、アームカバー等を併用してしっかり対策してほしいです。

老化防止という意味で紫外線対策ほど有効な手段はありません。

 

また、使用直後の効果や仕上がりの良さを求めて洗浄力の強い洗顔、スクラブ、ピーリングといったアイテムで肌を擦り、角質を過剰に剝がし取るようなスキンケアも人気ですが、バリア機能を低下させる原因になるので、過度な使用は控えてほしいですね。

 

そしてライン使い(※)で洗顔後に5品も6品も使用する方も多いですね。

しかし過剰な油分は毛穴詰まりやニキビ、過剰な水分は角質をふやかしたり、蒸発するときに内部の水分を奪ったりするため、肌トラブルの原因にもなります。

また重ねるほど配合成分の種類も増えますので刺激のリスクも上がります。

(※化粧水⇒美容液⇒乳液⇒クリームのように同一ブランドのアイテムを多種類使うこと)

 

これらのことを考え、洗顔後に使用するアイテムを2品以内に抑えたシンプルなスキンケアを推奨しています。

 

下条:
ヒット商品「リポタッチ」の発売から7年、10vetoなど実力派の商品を作り続ける篠崎さんですが、ご自身で化粧品作ろうと思ったきっかけは何ですか?

 

篠崎:
長年デパコスからドラッグストア、100円均一商品など様々な化粧品を試してきましたが、成分、使用感、パッケージ、コンセプトなどについて「もう少しこうだったらなぁ」とか「この点は勿体ないなぁ」などと感じることが多くありました。

またライン使いを推奨しているメーカーも多いですね。

先ほどもお話しした通り、過剰なスキンケアは肌トラブルの原因になりますので、洗顔後2品以内で完結するスキンケアシステムがベストと考えています。

もちろんオールインワンタイプの商品もありますが、より多くの効果を謳いやすくするために様々な有効成分を微量混ぜるなどマーケティングの都合を優先しているものが多い印象がありました。

有効成分はある程度絞り込んで、効果と安全性のバランスを考えて適切な濃度で配合することがとても大切です。

また、成分が良いだけでなく使用感が良くなければ優れた化粧品とは言えません。

そういった化粧品やスキンケアシステムの様々な側面にこだわると、もう自分自身で開発するしかないなと思いました。

 

 

下条:
化粧品づくりのこだわりを教えてください!

 

篠崎:
シンプルケアを実現するために、ある程度成分を絞り込んで効果と安全性を両立できる処方を組むこと、そして心地良く使えること、さらにスキンケア後の化粧ノリまで考えたものを作っています。

是非一度商品に触れて欲しいですね。

 

 

下条:
ヒット商品を生み出す秘訣は何ですか?

 

篠崎:
「売ることより、肌のことを考えて作る」これだけですね(笑)

リポタッチは結果的にヒットしましたが、ヒットさせることにこだわっていた訳ではありません。

マーケティング重視で「売ること」が最優先になってしまうと、美容成分が適切な濃度で配合されていなかったり、過剰なまでのライン使いを推奨していたりと「肌のため」のスキンケアからかけ離れてしまいます。

自分はそうなりたくないなぁと思ってます。

 

 

下条:
10vetoの商品について教えてください!

 

篠崎:
一言でいうとバランス重視の化粧品です。

化粧品を売る上で1つの特徴を際立たせることは非常に有効ですが、10vetoはあらゆるバランスを考えて作った完成度の高い化粧品です。

 私のプロデュース商品で言えばリポタッチのナイアシンアミド、最近ではレチノールなんかが流行っていますよね。

これらはスキンケア成分としてとても有効なのですが、効果が高い分、肌に合う人、合わない人がはっきり分かれます。

また、効果を実感したいために高濃度にすれば肌トラブルの原因にもなり得ます。

 

それに比べて、例えば10vetoエッセンスの主成分「米ヌカ発酵エキス」の構成成分は人間の肌に存在するNMFという成分を多く含む混合物のため、肌馴染みが良くてリスクの低い成分です。

もちろん単に無難ということでなく、コウジ酸・フェルラ酸・フィチン酸など肌に含まれていない美容成分もバランス良く含まれているため、様々な効果を穏やかに感じることができます。

この様に効果と安全性などのバランスを重視した、長く愛用して頂けるような商品作りを心掛けています。

 

化粧品は「天然由来成分のみ配合」「~高濃度配合」といった極端な方が売り手も訴求しやすいですし消費者も理解しやすいかも知れません。

しかしこのやり方の化粧品でロングセラー商品を見たことがありません。

長く愛用して頂くためには、効果と安全性、機能性と使用感、天然成分と合成成分、肌負担と仕上がり、など様々な角度からバランスを考えて完成度の高い化粧品を作ることが大切だと考えています。

バランスの良さを訴求することはとても難しく、売りにくさも感じていますが、一度使って頂ければ必ず良さを実感して頂けると思って地道に育てています。

 

~コンセプトについて~

 

ブランドコンセプトとして、

・チャリティ

・エコ

・ジェンダーレス を掲げています。

 

一番の特徴は「全商品の収益の10%を寄付」ということでしょうか。

せっかくブランドを作るなら、より多くの人にとって意味のあるものを作りたいと思いました。

 

人だけでなく環境に配慮することも作り手の責任だと思いますので、リフィル交換式容器やバイオマスプラスティック、再生紙などを積極的に採用しています。

 

また、私自身男性ですが、綺麗になりたいと思う気持ちは女性と同様です。

美容=女性というイメージを払拭し、性別を超えて美容を生活に浸透させたいという思いもあります。

 

~デザインについて~

 

私の理念はシンプルケアです。

シンプルというのは誤魔化しがきかないということでもあります。

容器のデザインも同じです。メッセージ性の強いコンセプトを表現していながら、使い続けても飽きの来ない洗練されたデザインをデザイナーの池端さんが作り上げてくれています。

 

 

 

ゲスト:篠崎 功

インタビュー:下条 かよの

一覧に戻る